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社労士

当日休みって、年休(年次有給休暇)だよね?なら理由を言わなくてよい?【当日休みの考え方】

有給休暇 社労士
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部下から当日に休むと連絡が来た。そして、何の理由もなしに。
理由を聞くと年休で休むのだから、年休取得に理由を言う必要ないでしょとのこと・・(年休取得時に理由は必要なし、聞かないは今や常識か?・・)

でもそれってどうなの??普通当日休みならどうしたの?風邪なの?何か急な問題が発生したの?って聞くのが常識の様な気もするし・・
当日休みに理由を言わないのっておかしい感じもするし・・

しかし、コンプライアンスが叫ばれているこのご時世、本当に理由を聞いたらダメなら、後々問題だし(組合があるなら、組合に訴えられそうだし)
と考えたことはないでしょうか?

そこで、社会保険労務士である私しま丸ねこが、労働基準法に絡め、当日休みについて、解説していきます。

この記事を読むと当日休みと年次有給休暇の関係が理解できるようになります。

この様な方へ向けて、参考になれば
・管理職(課長)になったのは良いけど、部下からの休暇申請に悩んでいる方
・当日休みをすることって何なのか知りたい方
・そもそも年次有給休暇のことを知りたい方

 

黒ねこ
黒ねこ

最近、課長になったが、部下からの休み申請に対し、どこまで深掘り(理由を聞く等)すべきか悩んでいる。年休取得時に理由を聞かないのは今や常識となっているが、では、当日休み時に理由を聞いたらいけないのかなあ??

しま丸ねこ
しま丸ねこ

そうだよね~?! 今回はその辺のこと、「当日の休み取得」について、解説するよ!

 

当日休みって、年休(年次有給休暇)?

(原則として)当日の休みは、年休(年次有給休暇)扱いにしなくてもよい。

やむを得ない理由があるならば、年休(年次有給休暇)扱いにしなくてはならない。

よって、理由を聞いてもよいということになります。

ただし、客観的に時季変更権の要件(非代替的に限定されている業務等の場合)が備わっている時に、その行使の有無を判断するために、理由を聞くことが許されるという条件がありますが。

 

年次有給休暇とは?

有給休暇願

年次有給休暇とは、労働基準法で定められており、一定期間勤務した労働者に与えられる休暇です。

有給休暇とあるので、給料が支払われます。
(休暇中の賃金が減額されません)

略称名として、年休、有給とも呼ばれています。

年次有給休暇は、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇で、原則会社は取得を拒否できず、取得理由の提示も不要です。

「使用者は、有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。」

参考:労働基準法39条

 

 

当日休みを年休にしなくてもよい理由

はてなマーク

時期変更権があるため

「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」
参考:労働基準法39条5項

とあるように、当日休み(当日年休申請)を言われても、この時季変更権により、やむを得ない理由(正常な運営を妨げる場合)がある場合を除き、別の日に変更できるので、この日(当日)の年休申請を拒むことができるのです。
この場合、休みは欠勤扱いとなります。

よって、流れ的には、

当日休み申請
理由なし欠勤扱い
理由有りやむを得ない理由が有る場合年休扱い

ただし、客観的に時季変更権の要件(非代替的に限定されている業務等の場合)が備わっている時に、その行使の有無を判断するために、理由を聞くことが許されるという条件がありますが。

という感じですかね

就業規則に別の定めがある場合は、この様にはなりません。
そもそも当日休みの理由が体調不良等の病気や怪我なら、安全(健康)配慮義務の関係でも理由を聞いてもよいことになるのでは?

 

当日休みに関する具体例

虫眼鏡の中に判例

判例:此花電報電話局事件

「年休の時季変更権」が問われた判例です。
当日年休申請に対し、時季変更権の行使をし欠勤扱いとして賃金カットしたため、その是非が問われ、その時季変更権が認められた事件です。
(概略説明)
1.当日休み、年休申請
2.理由を言わず
3.当日事務に支障が生ずるおそれがあると判断したが、休暇を必要とする事情によっては、年休を認めるのが妥当と判断
4.それでも理由を明らかにすることを拒む
5.時季変更権により、当日の年休取得を拒否した
*当日の年休申請のため、事前の時季変更権の行使は時間的余裕なし

この職場は公替制勤務で、年休の請求が就業規則等の定める前々日の勤務終了時までにされなかったことにより、代行者の配置が困難となり、事業の正常な運営に支障が生じる恐れがあったという背景があります。
(客観的に時季変更権を行使できる要件が備わっている状況です)

参考:電電公社此花電報電話局事件 最1小判昭和57.3.18

 

判例:東京貯金事務センター事件

年休は事前(会社が時季変更の要否を検討できるだけの時間を置いて)に申請(時季指定)しなければならないよと解された判例です。

年休の事後請求は本来成り立たない性質のものである。
ただし、急病その他やむを得ない理由により、事前申請ができなかった場合は、会社の裁量で年休扱いにすることはできる。
年休の事後請求が認められなかったとしてもすぐに違法となるわけでなく、年休処理が妥当にも関わらず、会社が年休扱いを拒否した場合は、権利の濫用で違法になると解された。

(概略説明)
東京貯金事務センターに勤務していた職員が遅刻と他で、賃金減額等されたことを争う。
職員は職務専念義務違反があり、再三指導したが従わなかったこと等があり、賃金減額等は違法とされなかった。

参考:東京貯金事務センター事件 東京地判平成5.3.4

 

まとめ

当日年休申請は、事前に時期変更を検討できず、時季変更権を使用することにより、当日の年休を拒否し、別の日にできるため、当日休みを年休にしなくてもよいことになる。
ただし、年休を拒否することは、理由の如何によっては、違法性の可能性もあるため、当日年休申請には、理由を問う必要がある。

年休は時季変更権の行使を検討するために、事前に申請しなくてはならないと言う事です。

時季変更権の行使の有無という前提になりたっているので、時季変更権の行使が可能な場合という条件が必要にありますが。

結構、何の理由も言わず、当日当然の様に休み申請をする人がいると思います。
その場合、理由を聞くことができる可能性があります。
年休申請に理由は必要ないと考えられていますが、当日年休申請は一概には違います。
コンプライアンスが叫ばれている中、当然に、管理職も労働法の知識が必要となります。

参考になれば幸いです。

 

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