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書評

【お勧め人事関係本】とにかく読むべし、人事関係お勧本3選《会社・人事・人生を考える》

本3冊タイトル 書評
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人事関係の本を3冊紹介します。
1冊目:人事部について
2冊目:会社員(サラリーマン)から見た会社とのつきあい
3冊目:最近の人事制度について、旧から新へ
ざっくりこんな感じで、なかなか人事関係の本音(裏側)が書かれている本なので、心に残るものがあります。
特に1冊だけ読むのではなく、順番に読むことで深みが増す様に感じます。
では、各々に感想を述べていきます。

【お勧め人事関係本(1)】「人事部は見ている。」 《会社の人事部とは》

本の表紙の中に本

楠木新『人事部は見ている。』(日本経済新聞出版社, 2011年)

著者・本の構成

著者

楠木新
1979年から大手企業で人事・労務関係の仕事をしていた方。
40代の後半に仕事に意味を見い出せなくなり、うつ状態となったため、会社をしばらく休職していたようです。
支社長、担当部長等の役職を経験したあとに、数年間平社員のまま働いたとのこと。
50歳前半ぐらいに会社の仕事をやりながら、大学の非常勤講師、ビジネスパーソンへのインタビューや朝日新聞beに寄稿したりと副業(?)を実行していた方。
他の著書多数。

本の構成

この本の発行は、2011年と10年以上前で結構古く、本のタイトルの通り、会社(伝統的な日本の大企業)の人事部は何をやっていて、どの様な部署なのかを説明しています。
特に人事評価、異動、出世等の実態が、一般的にはなかなかわからない様なことも深く突っ込んで解説されています。
ただし、伝統的な日本の大企業の人事部の説明なので、現在の新興系会社の人事部にきっちりマッチすると言うわけではありませんが、人事部としての根幹部は共通でしょう。

 

注目点・お勧めポイント

 ポイント1.人事部員の把握できる人数

「1人の人事部員が把握できる人数
私の経験でいえば、担当する社員の顔を知り、かつある程度の行動予測ができるのは、最大でも300が限度である。」(本書p73)

とあります。
人事部は社内の人に関する仕事、社員一人一人の情報を集めるのも仕事の様です。
そういった仕事なので、担当する社員数に左右されるとのこと。
逆に言うと、担当する社員数が多い場合、一人一人をある意味きめ細かく考え、キャリアを見てあげられないと言うことです。

後述する「拝啓 人事部長殿」での説明に関係するところですが、
伝統的な日本の大企業では、今までのアナログ的な管理手法だとこのぐらいの人数が、一担当者の管理範囲ということだと思います。
要するに、社員一人一人を手厚く見てあげられなく、どうしても一括的になるということです。

 

 ポイント2.伝統的な日本の大企業の出世の構造

一般的に会社で出世するためには、
会社が何を求めているかを見極めて仕事をしていくことや
意欲的に仕事に取り組み積極的に学ぶ姿勢・行動することや
積極的にコミュニケーションをしていくこと(コミュニケーション能力は共通した重要事項ですが)等
今ひとつわからない感じで説明している場合が多いと思うのですが、本書では、以下の様に具体的に、本音で説明しています。

1.課長クラスまでは実力(仕事ができるか)が勝負
課長クラスまでは、とにかく目の前の仕事をがんばるのが正しい選択の様です。

2.職場内での評判
大きい組織では職場内での評判も重要とのこと。社員数が多いと一人一人目が行き届かないからの様です。

3.大組織の内部管理機構で政治的に活躍できる能力
課長よりも上にいくためには、この政治力が重要になってくる様です。

と言うことは、仕事ができないと課長になれないけど、仕事ができるだけでは、課長より上にはいけないと言うことなのでしょう。

さらに特に重要となるポイントは、
4.結果的にエラくなる人と長く一緒にやれる能力
将来エラくなる人と出会い・知り合えれば、そのエラくなった人が自分を上に引き上げてくれるからです。
いわゆる、上司の「ヒキ」ですね。

例えば、入社した時に配属された課の課長に可愛がられた人が、その課長の出世に伴い出世していき、その課長が社長までなれば、その人はもう結構いいご身分となるでしょうとか。

結局、課長より上は、仕事ができるできないと言うよりは、エラい人が気に入っているかどうか、エラい人とうまくコミュニケーションがとれているかが重要と言うことです。

重要な能力としては、上司に対しての「察する能力」「人間関係の構築能力=コミュ力」ですね。
その能力により、上司の持つ力量や人脈を有利に活用できるチャンスが生まれていくことになると言うことです。

良く出世にはこうすると良い、合理的に、仕事のでき等言いますが、実際はこれが重要なことですね。

確かに、そう言えば、なぜ仕事はたいしたことないやつがあんなに出世していると見れば、
結構こう言うパターンは多いのでは?

最後に役員になるには、
5.役員を選ぶ基準は忠誠心
上職に対しての忠誠心が重要とのことです。

この様に確かにという出世の構造を理論的に、実際の肌感覚にも合う様に説明してくれているところは、非常に感じ入るところです。

【お勧め人事関係本(2)】「サラリーマンは、二度会社を辞める。」 《会社人生を考えさせられる》

本の表紙の中に小さい表紙2

楠木新『サラリーマンは、二度会社を辞める。』(日本経済新聞出版社, 2012年)

著者・本の構成

著者

【お勧め人事関係本(1)】「人事部は見ている。」と同じ著者の
楠木新氏です。
「人事部は見ている。」では、会社側の視点から人事部はどうしているかを書いた様ですが、この本では、個人(社員)と他者、個人と組織との関係を説明しています。

本の構成

この本も発行は、2012年と10年以上前で結構古い。
会社員(サラリーマン)人生の前半(入社時)から後半(退職時)までの課題について論じています。
入社から退職までを4つの段階と解釈すれば、筆者は、「入社して会社に定着する段階」「一緒に働く仲間や顧客に貢献できるようになる成長期」「中年になって戸惑う期間」「引退や老後も視野に入れて働く時期」と説明しています。

 

注目点・お勧めポイント

あくまでも、日本の伝統的な大企業での説明となりますが、

「仕事で自己実現を目指してはいけない」

と第1章で、いきなりこの様なタイトルを付けています。「ええ~そうなの??」と思う気持ちと「やっぱりそうなんだよね・・・」と思う気持ちの半々の感想を抱かせます。

それに続けて、
学生の採用・選択の基準は、「自分の部下、後輩として一緒に働けるかどうか」であること。「採用担当者たちは、目立った能力や資格を持つ人材を採りたいとは思っていない。」
「個人の持つ能力を思う存分発揮できる機会は組織の中ではそれほど多くない。極端に言えばまったくない場合だってある。むしろ会社組織は、自ら進んで縁の下の力持ちになれるような人材を求めている。」
と言うセリフが書かれ、本音むき出しな感じです。

「自分に向く仕事は、他人が決める」
「大半の社員は、興味の持てない仕事、裁量権のない仕事、希望していない地域での勤務に従事するのが現実であろう。」
とまで言っています。

「自分の得意なことや好きなことは、自分一人で思っているだけでは見間違うことが多い。
自分の能力や仕事ぶりを判断して評価するのは、あくまでも他人なのである」
とまあ現実的な判断からでもありますが。

「突出した個性の人間は、会社組織では働けない」
と強烈なインパクトで、本音発言をしています。

例として、あげられている話しが、
若手社員が、スティーブ・ジョブズを尊敬していて、自分で何か事業を立ち上げたいと考えていると相談したくだりで、

「君は何か基本的なところで考え違いをしていないか?」と尋ねた。
(中略)
「君が毎日会社で働くことができるのであれば、まず飛び抜けた個性は持ち合わせていないと思ったほうがいい。突出した個性のある人材なら入社もできないし、たとえ働き出しても長くは続かない」と彼に言った。
続けて、「しかし、君には彼らが持たない良さがある。この会社に入社できたのは、人事担当者が仲間として一緒に働けると認めた結果だ。それを伸ばすことを考えたらどうか。魅力ある個性や突出した能力と幸福な人生とは必ずしも相関関係にはない。ひょっとすると君のほうがいいポジションにいるのかもしれない」と話した。

(本書p34~p36)

と言う様にガッと心を掴んでいきます。
やっぱり、自分はそうなんだなと・・・

そう言えば、あの元参議院議員のガーシー氏は、学卒で入った車のディーラーを1週間で辞めたと聞いたことがあります。
やはり、サラリーマンであることも一種の才能(?)なのかな??

この本の題名の説明で、
サラリーマンは、会社の定年の前に「こころの定年」を迎える、
「「こころの定年」とは、組織で働く意味に悩むこと」
としています。

ではどうすればよいのか、解決策は、
第二の人生(助走が必要)に向かうこと
第二の仕事を持つこと
等と結んでいます。

なかなか身につまされる感じです。
とにかく、ここまで本音で語ってくれる本はなかなかないのではないでしょうか?

【お勧め人事関係本(3)】「拝啓 人事部長殿」 《最近の会社の人事・人生を考える》

青い本の表紙

高木一史『拝啓 人事部長殿』(サイボウズ株式会社, 2022年)

著者・本の構成

著者

高木一史
2016年にトヨタ自動車株式会社に新卒入社、人事部経験後3年で辞め、2019年にサイボウズ株式会社に入社して人事関係に携わっている方。

本の構成

この本の発行は、2022年と最近のものです。
筆者はトヨタ人事部在籍中に会社の閉塞感から退職をして、サイボウズと言う会社に転職します。
サイボウズと言う会社では、会社の閉塞感をある程度打破(していると感じる)しており、100人100通りの働き方に挑戦している人事制度を構成しています。
その中から、人事制度、閉塞感の理由、トヨタ人事部の先輩たちの問い等の疑問を解決すべく、人事制度の歴史から他社の人事制度レポートまで、研究し、疑問の回答を導き出しています。
現在の人事制度に対する疑問と回答です。

 

注目点・お勧めポイント

筆者はトヨタ人事部在籍時に下記の閉塞感を感じてもがいています。

閉塞感1:「一人の人間として重視されている感覚の薄さ」
「自分の人生をいきている感じがしない」

閉塞感2:「一人ではなにも変えられない、と言う無力感」
「自分一人ではなにも変えられない」

役職ごとに知ることができる情報が厳しく統制されている
オフィスに出社しないと出社している人たちとの間に情報格差が生まれる
結果、重要な情報を知っている一部の人だけで物事が進んでいく

と言う様にまさに【お勧め本(1)(2)】で説明された内容で閉塞感を感じ、悩んでいるのではないでしょうか?
今の中高年世代では当たり前、「やっぱそうだよね」「仕事で自己実現」なんて無理だよねと思う様なことで悩んでいるのではないでしょうか?
一昔前なら、何言ってんだそんなこと言っていないで24時間働けと言われる様なことで。

ここから筆者は、この閉塞感の疑問の内容と解決方法を考えています。

まず、今までの閉塞感のある人事制度(仮に旧人事制度とします)は、
伝統的日本の大企業の人事制度で、一律平等のもとに、

「フルコミット」雇用の確保の名のもとに強い主従関係を強いる。
例:転勤・配置転換の強制

「ヒエラルキー」出世の階段により、モチベーションの醸成をする。
例:だれもが一つの会社内での出世を目指し階段が上がるごとに権威(象徴)が増していく。(例えば、管理職の椅子には、肘掛けが付いている等(これは権威の象徴?))

「人材の育成」自社の常識・知識の継承のみのクローズ(閉じられた)環境での育成
例:一旦会社を辞めて、他で経験・知識を得て来ても、元の会社に戻れない等

とまとめています。

筆者の考える閉塞感を解決する人事制度(仮に新人事制度とします)は、
「みんなの理想(一律平等)」を求める時代から、「一人ひとりの理想(自己実現)」を求める時代へ」としています。

会社の成長の源泉は、少子高齢化、デジタル化、グローバル化、顧客ニーズの多様化により、変化しているため、
かつては一律平等を重視していたが、今は個性の重視が求められているようになっている。
としています。

「雇用の確保」=「主従関係」から「+多種多様な人材のインクルージョン(包摂)へ」

「モチベーションの醸成」=「出世」そのための「ヒエラルキー」から「+人それぞれへ」

「人材の育成」=「自社の常識・知識の継承」から「+外の知見も踏まえてアップデートへ」
のための「一律平等」ではなく、一人ひとりの「個性を重視」になる。
とも言っています。

具体例として、サイボウズの人事改革をあげています。
サイボウズでは、「徹底的な情報共有」を計ることにより、
「多様な距離感」「自立的な選択」から会社のメリット(「モチベーション」「雇用」「育成」)を最大化しています。

「情報の共有が「主体性」(→モチベーション)を加速させる」
「情報の共有が「多様性」(→雇用)を加速させる」
「情報の共有が「創造性」(→育成)を加速させる」
「情報の民主化」「インターネット的」
と言う内容です。

これらは、テクノロジーを使って情報共有を計るとしています。
すなわち、世の中が「インターネット的」になっているので、このようなことができるとしています。

一昔前(主に2010年以前ぐらいでは?)ならば、旧人事制度では、いくら個人を大事にしない、自己実現できないと言って閉塞感を感じてもなかなか変えられなかったのではないでしょうか?
しかし、ここ最近(主に2010年以降のスマホ勃興、インターネット、デジタル化が急速に進み、この2020年代で)インターネット等テクノロジーにより、新人事制度がようやくできる様になってきたのではないでしょうか?

【お勧め人事関係本(1)】「人事部は見ている。」で、人事部員の把握できる人数のことを述べていますが、これはあくまでもアナログ的に管理できる人数のことを言っているのであって、今のテクノロジーを使えば大きく変わって来るのではないでしょうか?

【お勧め人事関係本(2)】「サラリーマンは、二度会社を辞める。」で、「仕事で自己実現を目指してはいけない」と言っていますが、これも今後大きく変わっていく可能性があるのではないでしょうか?

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まとめ

「人事部は見ている。」
「サラリーマンは、二度会社を辞める。」
「拝啓 人事部長殿」
の読書感想文でした。

これらの本を単発で読むのもいいですが、まとめて読んで、関連性を見ていくのもまた楽しいのかなと思います。

本当は旧人事制度の一つの大きな重要点として、「退職金」関係のことが説明されていると良かったのですが、その説明がこれらの本にはなかったのが残念でした。

あくまでも、これらの意見はこのブログの管理人の勝手な意見です。
参考になれば幸いです。

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