ブログやWebサイトを作っていると、他のWebサイトで、良く説明されわかりやすい記事を見かけることがあります。そして、そのWebサイトのリンクを自分のWebサイトに貼っておきたくなることがあると思います。
通常何気なくリンクを貼ってみたりするのですが、ふとこれって著作権法的に大丈夫なのだろうか?適当にリンクを貼っていて何か問題ないだろうか?と思ったことはないでしょうか?
私も最初この様に考え、どのようなリンクならばよいかググって調べましたが、結構Webサイトによって色々な説明があり、なかなか奥が深いと感じました。
ならば、行政書士の扱う分野でもある著作権法にからめて、ここでリンクの使用方法、種別、注意点、可否等について解説していきます。
・ブログ又は、Webサイトで情報発信する時に、リンクを貼ろうとしている方
・リンクを貼ることは著作権法的に大丈夫なのだろうか?と思っている方
・リンクの貼り方って色々とあるが、どれが良くて、どれがダメなの?と思っている方
・リンクの種別と著作権法の関係を知りたい方
ブログを書く時に、他の良さげなWebサイトのリンクを貼ろうと思っているんだけど、適当にバンバン貼ってもいいのかな~??
リンクの貼り方にも色々あるよ!法的問題、ルール・マナーの問題もあるし。
よし、じゃあ、僕がこれからリンクについて解説しよう!
リンクって必要なの?
さ~て、ブログ書くか!
ちょっと待って!リンクも貼るの?
リンクって必要?
リンクについて
リンクとは、ハイパーリンク(hyperlink)の通称(略称)のことです。
自分のサイト(元)に別のサイト(先)のURL(ホームページ(Webサイト)やファイルのアドレス)を記載(貼る又は張る)しておくと、そこをクリックした時にその別のサイトに飛ぶ(見れる)様にするものです。
ブログにはやはり参考とした別のWebサイトやこれは良い、ためになると思って他の人にも勧めたい別のWebサイトのリンクを貼りたいですよね。
リンクなしのブログではなんかもの足りないって感じがしますよね。
やはり、ブログにはリンクが大事です。
リンクと著作権法と使用上の可否・注意点・マナー
では、リンクの自体の使用上の可否を考察していきます。
考察1.単なるユーザーのクリックを必要とするリンク
リンク先にあるWebサイトのURLをブログに書くだけ(貼るだけ)のリンクで、
ユーザーがリンク先にあるWebサイトを閲覧するには、そのURLをクリックしなくてはならない場合、
この場合、リンク先のWebサイトのコピーもアップロードもしていないので、
著作権法で言うところの複製権、自動公衆送信権を侵害していないと言うことになり、
著作権法的に問題ないと言えます。
(リンク先のWebサイトに違法性があるならば、問題が発生する可能性がありますが)
考察2.ユーザーのクリックを必要としないで、リンク先のWebサイト(の一部)が閲覧できる状態になっているリンク
では、リンク先にあるWebサイトの画像・記事(の一部)がユーザーのクリックなしで、見える状態になっている場合はどうなのでしょうか?
(この場合、インラインリンク(イメージリンク、直リンク又は、フレームリンク)が該当します)
ユーザーはリンク先のWebサイト(の一部)が表示されているので、そのWebサイト(の一部)が見えていますが、
この場合でも、その表示されたリンク先のWebサイト(の一部)は、リンク元のWebサイトにコピーされたものでなく、アップロードされたものでもないため、
上記考察1の「リンク先のWebサイトのコピーもアップロードもしていない」に該当します。
よって、著作権法で言うところの複製権、自動公衆送信権を侵害していないと言うことなり、法的に問題ないと言えます。
図解説明すると以下となります。
以下の判例が根拠となっています。
大阪地判2013年6月20日 判例「ロケットニュース24事件」
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/364/083364_hanrei.pdf
(PDF)
(出典元:Webサイト名:平成25年6月20日判決言渡 同日判決原本領収 裁判所書記官 、2022年12月)
最高裁2020年7月21日 判例「リツイート事件」
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89597
(出典元:Webサイト名:裁判所-Courts in Japan「最高裁判所判-裁判例結果詳細」 、2022年12月)
考察3.利用ルール、マナーの点からどうなのか?
考察1、考察2からリンクはどのような形であれ、原則として著作権法上適法となっています。
(リンク先Webサイトの適法性や著作権法上厳密な部分等により、他の問題が発生する可能性はありますが)
ただし、リンク先のWebサイトの利用ルールやマナーという点からすると適法だからなんでも良いとは言い切れません。
(わざわざリンクしないでと宣言しているサイトへ許諾なしでリンクを貼る行為は、適法だとしも後々のトラブルを発生させかねません)
例として下記の引用の様に、東京電力グループのホームページへリンクを貼る時は、事前に連絡をすることを求めています。
この様に利用ルールで厳しく制限しているWebサイトもあります。
当社グループへのリンクについて
当サイトにリンクを設定する場合、利用者の氏名、電話番号、メールアドレス、リンク元のサイトのURL、リンクを設定した当社グループのURL、利用者のリンク開始日を事前に こちら にご連絡ください。
なお、この場合、当社グループとの間に協力関係があると閲覧者に誤認させるおそれのある形態、当社グループの信用を損なうおそれのある不当な形態、公序良俗に反するおそれのある形態はお断りさせていただきます。(出典元:Webサイト名:TEPCO東京電力グループ「サイト利用にあたって」 2022年12月、URL:https://www.tepco.co.jp/legal/ )
リンクの種別ごとの使用の注意点はどうなのか?
では次にリンクの具体的な種別ごとに使用上の注意点を解説していきます。
非表示系リンク
非表示系リンクとは、リンクのURLを貼ったが、そのままではただのURL(又はテキスト)のみが表示されている状態のものとします。
*考察1に分類されるものになります。
*説明上の都合により、この様に「非表示系」と名称を付けましたが、一般的な名称ではありません。
種類1.ハイパーリンク
考察1で説明したリンク先にあるURLを書くだけのリンク。
(リンク全体を意味することでもありますが、ここではこの意味とします)
ハイパーリンクの実際の使用例
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048
(出典元:Webサイト名:e-Gov法令検索「著作権法」2022年12月)
注意点
・リンク先のWebサイトに違法性があるならば、問題が発生する可能性があります。
種類2.テキストリンク
これも考察1で説明したリンク先にあるURLを書くだけのリンクですが、それがテキストの形になっているものです。
テキストリンクの実際の使用例
(出典元:Webサイト名:e-Gov法令検索「著作権法」2022年12月)
*ハイパーリンクはURLを記載しただけのものですが、テキストリンクはリンク記載場所が文字の形になっています。
注意点
・リンク先のWebサイトに違法性があるならば、問題が発生する可能性があります。
種類3.サーフェスリンク
リンク先にWebサイトのトップページを設定されている状態
サーフェスリンクの実際の使用例
(出典元:Webサイト名:e-Gov法令検索、2022年12月)
注意点
・リンク先のWebサイトに違法性があるならば、問題が発生する可能性があります。
種類4.ディープリンク
リンク先にWebサイトの下層のページを設定されている状態
ディープリンクの実際の使用例
https://www.mhlw.go.jp/chosakuken/index.html
(出典元:Webサイト名:厚生労働省「利用規約・リンク・著作権等」、
2022年12月)
注意点
・リンク先のWebサイトに違法性があるならば、問題が発生する可能性があります。
・このディープリンクには、利用ルールとして注意をうながしているWebサイトもあります。
・JR東海のWebサイトでは、以下引用の通り、リンク先をトップページ限定にしています。すなわち、ディープリンク禁止としています。
6.当サイトへのリンクについて
当サイトは以下の各号に違反しない限り、原則リンクフリーです。以下の各号に対する違反が判明した場合、リンクの削除等を要請することがあります。
1.当サイトへのリンクは、当サイトを訪れるユーザーの便宜を図ることを目的とする場合に限り認めます。営利を目的とする場合はお断りします。
2.リンク先として設定するURLはトップページ(https://jr-central.co.jp/)にしてください。
(以下省略)(出典元:Webサイト名:JR東海「JR東海ウェブサイトのご利用にあたって」 2022年12月、URL:https://jr-central.co.jp/policy/ )
表示系リンク(インラインリンク)
表示系リンクとは、リンクのURLを貼ったところが、ただURLのみが表示されるのではなく、リンク先の画像や文書(の一部)が表示される状態になるものとします。
*考察2に分類されるものとなります。
*説明上の都合により、この様に「表示系」と名称を付けましたが、一般的な名称ではありません。
種類5.イメージリンク
リンクを貼ったURLがURLやテキスト表示されているのではなく、リンク画像、記事(の一部)が表示されている状態のリンク。
(それがリンクボタンとなっているもの)
*イメージリンクを直リンクと同じと解釈される場合もありますが、ここではこの様に解釈することにします。
このイメージリンクには、例えば「外部リンク ブログカード(*1)」
(リンク先のOGP(*2)情報等を利用したインラインリンクで、リンク元にブログカード形式で表示されます。)の様なものがあります。
*1.ブログカードとは、記事のタイトルや概要、アイキャッチ画像をまとめて表示する埋込の形式です。
*2.OGP(Open Graph Protcol)とは、FacebookやTwitterなどのSNSでシェアした際に、そのURL、画像、概要を表示する機能です。
外部リンク ブログカードの実際の使用例
(出典元:Webサイト名:厚生労働省、2022年12月)
注意点
・リンク先のWebサイトに違法性があるならば、問題が発生する可能性があります。
・厳密に言うと表示方法により、著作者人格権(氏名表示権)を侵害する可能性があるかもしれません。
種類6。直リンク
リンク先のWebサイトの画像が表示された状態となっていて、リンク元に貼られたURL=画像等をクリックするとリンク先のサイトの画像等が立ち上がる。
*実際には直リンクの意味は、はっきりせず、色々と解釈できますが、ここではこの意味として使用します。
直リンクの実際の使用例
*直リンク先は、ツイッターの「しま丸ねこ@副業=行政書士x社労士=開業 準備」にアップされている画像になっています。
*HTMLは、<img src=”https://pbs.twimg.com/media/FdcxsPzUUAAbH3U?format=png&name=small” />となり、ツイッターのサーバーからこの画像をリンクさせて表示しています。
注意点
・リンク先のWebサイトに違法性があるならば、問題が発生する可能性があります。
・直リンクは、直リンク禁止等、マナー違反として問題になる場合があります。
・この直リンクには、利用ルールとして、不可としているサイトが多数あります。
・日本経済新聞電子版のWebサイトでは、以下引用の通り、リンク先をコンテンツに直接リンクを張るものを除くとしています。すなわち、直リンク禁止としています。
リンクポリシー
日経電子版をはじめとする日本経済新聞社(以下、日経)が運営するウェブサイトの記事には、以下の場合を除きリンクを張ることができます。
- 企業が自社サイトに日経会社情報DIGITALの個別企業ページへのリンクを設置するもの(※)
- 事業者がクリッピングサービスにおいて記事のリンクを利用するもの
- フレーム内リンクなど、リンク元のウェブページの一部に日経電子版をはじめとする日経が運営するウェブサイトが表示されるもの
- 画像、イラストおよび広告など記事を構成するコンテンツに直接リンクを張るもの
(以下省略)
(出典元:Webサイト名:日経新聞電子版「リンクポリシー」 2022年12月、URL:https://www.nikkei.com/info/link.html )
種類7。フレームリンク
iframe(インラインフレーム)を利用したリンクです。Webサイト内にフレーム(枠)の領域を設定して、その中にリンク先のWebサイトURLを入れ表示する状態となります。
最近はYouTubeの埋込に良く使用されています。
フレームリンクの実際の使用例
*フレームリンク先は外部Webサイトではなく、当Webサイトのトップページにしています。
注意点
・リンク先のWebサイトに違法性があるならば、問題が発生する可能性があります。
・設定したフレームの外側は自分のWebサイトですが、フレームの中側はリンク先のWebサイトになっているため、表示の仕方によっては、あたかもリンク先のWebサイトを自分のWebサイト(リンク元)内の一部と思わせる様に設定することもできることで問題が発生する可能性があります。
・このフレームリンクは多くのWebサイトで禁止リンクとされています。
・東京都のWebサイトでは、以下引用の通り、リンク先をフレーム内でWebサイトのコンテンツが展開される等、東京都のコンテンツであることが不明確になり誤解をされるようなものを除くとしています。すなわち、フレームリンク(すべてのフレームリンク禁止と言っているわけではなく、不明確、誤解を生じるようになるリンク)禁止としています。
リンク
当サイトへのリンクは、営利、非営利を問わず原則自由とします。東京都公式ホームページへのリンクである旨を明記の上、設定を行ってください。ただし、以下のいずれかに該当するか又はそのおそれがあるリンクの設定はご遠慮ください。
- 東京都又は他社(者)・他団体を誹謗中傷したり、信用失墜を意図する内容を含む場合
- 東京都又は他社(者)・他団体の著作権、商標権等の知的財産権、財産、プライバシーもしくは肖像権その他の権利を侵害する行為又は侵害するおそれのある場合
- フレーム内で当サイトのコンテンツが展開されるなど、東京都のコンテンツであることが不明確となり、第三者に誤解を与える可能性がある場合
(以下省略)
(出典元:Webサイト名:東京都「著作権・リンクについて」 2022年12月、URL:https://www.metro.tokyo.lg.jp/chosakuken/index.html )
まとめ
リンクの種別関係をまとめると下記の図の様になります。
*はっきりこの関係図が正しいとは言い切れませんが、わかりやすく説明するとこの様になります。
そして、考察をまとめると
→原則、適法
考察2.ユーザーのクリックを必要としないで、リンク先のWebサイトが閲覧できるリンク
→原則、適法
考察3.利用ルール、マナーの点からどうなのか?
→原則、適法だけど、利用ルール、マナーを守らないとトラブル発生要因となる。
この様にリンクは著作権法上、原則適法になります。
しかし、リンク先の違法性、リンクの仕方によるリンク先の利用ルール、マナーによっては、問題が発生する可能性があります。
ここのところを考慮してリンクを使用していく必要があります。
参考になれば幸いです。
参考文献:
コンテンツ別 ウェブサイトの著作権Q&A〈第2版〉 [ 雪丸 真吾 ] 価格:3,300円 |
価格:3,300円 |
社会保険労務士です。
2022年9月に登録しました。
行政書士は登録準備中です。
まず副業から始めて、士業開業を目指していきます。
ブログも始めました。
士業を目指している方どうぞよろしくお願いします。
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