橘玲「不条理な会社人生から自由になる方法 働き方2.0vs4.0」(文庫版)発行者:永田貴之(PHP研究所,2022年)を読んでみました。
著者の橘玲は、今までに「言ってはいけない 残酷すぎる真実」、「無理ゲー社会」(小学館)等の著書で結構過激な、かなり突っ込んだ、世の中に真実、世の中の裏の裏をえぐる様な内容を書いていた方なので、今回も結構突っ込んだ「真実」を読めるかなと期待して読んでみました。
そこから最近はやりの「リスキリング」についての考察を試みました。
今回対象の方は、なし
今回は書評を書くよ!
へ~! だれに向けて書くの?
いや、今回は骨休みもかねて、だれに向けてでもなく、ただ、言いたいこと書くだけだ!
えええ~!!いいの?!
いいんだ~!!!
あらすじ
1.生き方・働き方について、現在・未来と劇的に変わっていく
(海外での働き方、ギグワーカー等)
2.現状の日本と日本の働き方についての考証
3.将来会社等がなくなるか
4.未来世界でどうするか
(自己啓発、「グローバルスタンダードでは資格と仕事が一体化」等)
箇条書きにするとざっとこんな感じです。
この本から「リスキリング」について考える
この本を読んだところ、前半、海外と日本の働き方の違いを延々と説明していた感じで、結構、読んでいて退屈かな~と言う状況でしたが、本番は後半の「4.「未来世界」で生き延びる方法」からでしょう。
ここで橘玲節炸裂と言った感じです。
では、この本の内容から「リスキリング」について考察していきます。
海外では、仕事はスペシャリスト基本
この本では、海外(日本以外)の仕事とはどういうものかを突っ込んだ形で説明しています。以下引用です。
日本以外では、仕事(プロフェッショナル)とは、「車のエンジンを設計している」「医薬品の広報をしている」など、自分の専門性のことです。会社で法務をしている人は「Lawyer(法律家)」ですし、経理を担当しているなら「Accountant(会計士)」です。
中略
スペシャリストとは、エンジニアやマーケター、トレーダー、弁護士や会計士などなんらかの専門を持っているひとたちです。会計士の資格があると、会計事務所に所属する、自分で開業する、どこかの会社で経理の仕事をする、という仕事の選択肢が生まれます。日本では3つめの選択を「会社員=サラリーマンになる」といいますが、海外ではそんな常識はまったくなく、自分の専門性をどのようにマネタイズするかのちがいがあるだけでこの3つの働き方は等価です。
スペシャリストは「会社の看板をかりた自営業者」で、会社の経理で働いていても、それは自分の専門性に対して雇用契約を結んでいるのであって、ちがう分野の業務をすることなど考えられません。だから、「経理から営業部に異動になった」などと聞くと海外のビジネスパーソンは腰を抜かさんばかり驚きます。(本書p249~p250)
又、学んだ事(資格)と自分の仕事が一致していることも説明しています。
以下引用。
グローバルスタンダードでは資格と仕事が一体化しているのが一般的です。法務を担当する人間なら弁護士資格をもっているか、すくなくとも法学部の学士であることが前提になります。経営幹部やマネージャーなら、いまではMBAを取得していることが当然とされるでしょう。その結果、キャリアパスの構築も日本とはまったく異なるものになりました。
高卒で入社した若者が優秀だったら、日本の会社では社内の昇進試験を受けるなどして中間管理職に進んでいきます。それに対して北欧の国では、昇進を目指す高卒社員は会社を休職するか勤務日を減らして大学に通い、マネジメントの学位を取得します。社内で昇進するために、一定の資格要件を満たしている必要があるからです。いったん学位を取ったら元の会社に復帰してマネージャーになることができますし、もっといい条件があれば他の会社に転職してもかまいません。大学で取得した資格は汎用的ですから、どの会社でも通用するのです。
中略
これもしばしば誤解されますが、学歴(専門)や資格が業務内容と一体化するのは「学歴主義」ではなく、それがもっとも公平に従業員を評価する方法だからです。専門性のない従業員を有資格者より優遇していると(日本の会社ではこういうことはよくありますが)、真っ先に差別を疑われます。それを否定するためには、社員の実績など、誰もが納得する合理的な理由がなければなりません。(本書p253~p254)
と本書で言っています。
海外では仕事は今まで「学んだ」「キャリアを歩んだ」専門性のある一つの職種である様です。
一つの職種でスペシャリストとなり、それを自分の仕事の基本として、各会社のその仕事を渡り歩くことが、転職することなのだということです。
海外の「リスキリング」とは?
その状況を踏まえ、そもそも海外で言う「リスキリング」とは、今培っていた専門の仕事が昨今のゲームチェンジ等で、その仕事のニーズ自体が縮小したことにより、転職をしたところで、どこにもその専門の仕事が見つからなくった場合、学び直し(「リスキリング」)により、別の今ニーズがある専門職種に変えることなのではないでしょうか?
例えば、今まで工場で品質管理の仕事に従事していて、その品質管理のスペシャリストになっていたとします。その後その業界の再編又は、ゲームチェンジによりその工場が閉鎖となり、その業界、その専門としている品質管理の仕事も縮小したとした場合、その労働者が一年奮起して、違う仕事であるIT業界のプログラミング関係を学び直し、新たに労働市場が拡大して来たIT業界のプログラマーとして職を得ると言うことではないでしょうか。
まさに、「リスキリング」とは、
{「スキル」=仕事=専門性}を{「リ」=re=再び}、{「スキリング」=スキルの習得}すること。
すなわち、自分の仕事である専門性を再び再構築することではないでしょうか?
日本のリスキリングとは?
「リスキリング」とは、
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/002_02_02.pdf
参照:リスキリングとは-経済産業省
と説明しています。
(正直言って、この経済産業省の「リスキリング」の説明は何言っているかよくわからないと思いますが)
日本の「リスキリング」は、ただの自己啓発又は社員教育とどこが違うのでしょうか?
(自己啓発は、自分で勉強することで、社内教育は、会社が社員を教育すること)
根本的に日本の会社の労働者は上記海外の労働者と違い、メンバーシップ制度のもとゼネラリストとして働いています。
その状況の上で企業等が最新のIT関係やDX関係について教育したところで、今の仕事の延長線上に、IT関係やDX関係を入れてい行く事しかできない。いやそのための「リスキリング」と言う名の社員教育ではないでしょうか?
であるならば、根本的に海外で言われる「リスキリング」とは違うのではないでしょうか?
まあ別にそれが悪いと言っているのではなく、ただ「リスキリング」と言う流行言葉を使って(もしくは流行らせたのか?)いるだけで、かつてエクセル、ワードが仕事に浸透していった時に社内研修した時となんら変わらないことだと思います。
まあそういう意味では、今政府主導のもと、各企業へ「リスキリング」の名を使い、社員教育に力を入れましょうと言ってるのでしょう。
まとめ
この本に特に書かれている、海外の仕事、日本の仕事、仕事の将来についてのことから、今流行の「リスキリング」の考察をし、個人的考えを述べてきました。
いずれにしろ、海外と日本は現在働き方が違います。
どちらが良い悪いではなく、将来どちらが生き残るか、マッチするかではないでしょうか?
ただし、いずれ少しづつではあるかもしれませんが、日本も海外の働き方を取り入れる事になるでしょう。
不条理な会社人生から自由になる方法 働き方2.0vs4.0 (PHP文庫) [ 橘 玲 ] 価格:968円 |
社会保険労務士です。
2022年9月に登録しました。
行政書士は登録準備中です。
まず副業から始めて、士業開業を目指していきます。
ブログも始めました。
士業を目指している方どうぞよろしくお願いします。
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