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書評

【お勧めジョブ型雇用関係本】とにかく読むべしジョブ型雇用関係お勧本2選《ジョブ型雇用とはなにかを考える》

jyobubook 書評
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ジョブ型雇用関係の本を2つ紹介します。
1冊目:まさに、ジョブ型雇用について
2冊目:ジョブ型等雇用のしくみの海外を含めた歴史的背景について
ざっくりこんな感じですで、なかなかにジョブ型雇用の中身と歴史が書かれている本なので、心に残るものがあります。
特に1冊だけ読むのではなく、2冊とも読むと深みが増す様に感じます。
では、一冊ずつに感想を述べていきます。

 

【お勧めジョブ型雇用関係本(1)】「ジョブ型雇用社会とは何か」を読んで、ジョブ型とメンバーシップ型雇用の違いをを考える

赤い本

濱口桂一郎『ジョブ型雇用社会とは何かー正社員体制の矛盾と転機』(株式会社岩波書店,2021年、2022年)

著者・本の構成

著者

濱口桂一郞氏
1958年生まれ、大学卒業後、労働省に入省、東京大学客員教授、政策研究大学院大学教授を経て、労働政策研究・研修機構労働政策研究所長になった方で、労働法、社会政策の専門家。
ジョブ型雇用とは、この方が作った名称とのこと。

本の構成

この本の発行は、2021年9月第1刷発行、2022年3月第6刷発行となります。
本のタイトルの通り、この本のメインはジョブ型雇用のことを説明しています。ただし、それにとどまらず、ジョブ型とメンバーシップ型雇用の違い、現在の労務、人事関係の問題点等を説明したかなり内容の濃い本となっています。
・ジョブ型とメンバーシップ型雇用の説明
・上記説明に基づいた就職、退職、解雇、賃金、労働時間等の説明・問題点
・他関係するものの説明
・社員組合関係について
等この本のタイトルとそれに付随する事ををメインに書いています。
(とにかく、内容が濃く、なかなかに難しい)

 

注目点・お勧めポイント

ジョブ型=職務ありき
メンバーシップ型=人ありき

ざっくり説明すると、
ジョブ型は、まず職務(job)が明確に規定され、職務を特定して雇用される。

メンバーシップ型は、人、能力、やる気(=いかに残業して仕事をするかで測ることができる)、会社への忠誠心から成り立っている。

ジョブ型は、
スキル=ある特定の仕事ができる能力が重視され、そのスキルとは資格等で判断される。

メンバーシップ型は、
ヒラ社員まで査定される(ヒラ社員まで査定するのは日本のメンバーシップ型雇用だけ)
やる気と能力が重要で、能力とはスキルではない。
能力とは、与えられた仕事は何でもできる潜在能力、コミュニケーション能力である。

能力査定とは、会社に逆らう不逞の輩に対するちょうど手頃な懲罰の道具であったわけです。(本書153p)

と言っているのは、確かにと納得させれれます。

日本版同一労働同一賃金を身分による賃金制度の違いを前提にした均等・均衡処遇政策と言っているのは興味深いところです。

 

【お勧めジョブ型雇用関係本(2)】「日本社会のしくみ」を読んで、ジョブ型雇用の歴史を考える

黄色っぽい本

小熊英二『「日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』(株式会社講談社,2019年、2020年)

著者・本の構成

著者

小熊英二氏
1962年生まれ、大学卒業後、出版社を経て、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。慶応義塾大学総合政策学部教授の方で、学術博士。

 

本の構成

この本の発行は、2019年7月第1刷発行、2020年6月第13刷発行となります。
・日本の雇用関係
・雇用関係の世界と日本の歴史
・日本社会(雇用関係)のしくみ

 

注目点・お勧めポイント

この本は日本と世界の雇用関係の歴史が主となり、日本の雇用制度を説明していく形となっています。
お勧め本(1)の「ジョブ型雇用社会」を読む前に読んだ方が、ジョブ型雇用について理解しやすくなると思われます。

日本の会社の社員のなりたちの説明で、職員とそれ以外の工員の関係として、

「戦前においては、「社員」とは職員であり、特権層のことだった。戦後の労働運動は、全員を「社員」にすることの要求からはじまったのである。」(本書363p)

日本の労働者にとっての「戦後民主主義」は、全員を「社員」、すなわち大卒幹部職員と同等に待遇せよという要求として現れたといえる。」(本書363p)

と言っているのは興味深い。

職能資格給は、戦前軍隊、公務員の制度の模倣で、官僚制の移植だったと言っています。

企業を超えた横断的基準の不在が、日本型雇用の最大の特徴である(本書552p)

と日本型雇用のことを説明しています。

「国ごとの雇用慣行を類型化することは、さまざまに行われてきた。しかしそのほとんどは、アメリカ・日本・ドイツといった国ごとに類型化する試みだった。しかし一国の内部は多様であり、類型化するのは困難である。ここでは、国ごとに類型化するのではなく、「企業のメンバーシップ」「職種のメンバーシップ」「制度化された自由労働市場」という三つの社会的機能で類型化してみたい。
この三つの機能は、いわば三原色のようなものだ。現実の「アメリカ」や現実の「日本」は、単色ではない。しかし複雑な色も、三原色の混合と考えれば、理解がしやすくなる。」(本書553~554p)

「日本はこの三機能のうち、「企業のメンバーシップ」が支配的な社会といえる。」(本書554p)

この本で最も納得させられるとことはここでしょう。

たしかに、日本の雇用制度はメンバーシップ型で、欧米はジョブ型と単純に言えることではありません。

この三原色論で説明した方がわかりやすい。

又、これからの日本の雇用制度を説明する上でも単純にこれからの日本の雇用制度はジョブ型になるよではなく、メンバーシップ型の根幹は変わらないが、ジョブ型の性質が色濃く出てくる新しい雇用制度になるのでは?と言えます。

 

まとめ

「ジョブ型雇用社会とは何か」
「日本社会のしくみ」
の読書感想文でした。
これらの本を単発で読むのもいいですが、まとめて読んで、関連性を見ていくのもまた楽しいのかなと思います。

あくまでも、これらの意見はこのブログの管理人の勝手な意見です。
参考になれば幸いです。

ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機 (岩波新書 新赤版 1894) [ 濱口 桂一郎 ]

日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学 (講談社現代新書) [ 小熊 英二 ]

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